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アルコール性肝障害を防ぐ亜鉛、セレンの役割

「アルコールの飲み過ぎ」が肝臓に悪いことは多くの方が理解され、納得されていることですが、今一度考えてみましょう。

以下の疑問を持つ方も多いと存じます。

  • どういう理屈で肝炎になってしまうのか?
  • 「アルコールを多く飲める人」、「アルコールに強い人」は肝炎にならない?


アルコールによって引き起こされる肝臓の細胞障害(肝臓の細胞への傷)により肝臓は傷つき、炎症を起こします。

肝炎の始まりです。アルコールによって活性酸素が作られ、それによって肝臓の細胞が傷つきます。

加えて肝臓に送られた脂肪が肝臓で燃えてエネルギーにならず、肝臓に溜まります。

この溜まった脂肪により肝臓は炎症を起こし、脂肪肝から肝炎へと悪化・進行してしまいます。

アルコール代謝酵素の問題だけでなく、その後の活性酸素の除去が問題になるわけです。

故にアルコールを多く飲める人がアルコール性肝炎にならない訳ではないのです。

つまりアルコールによって作られる活性酸素によって肝臓の細胞が傷つけられ、それを除去するための物質(抗酸化物質)の減少によって、肝臓はますます傷ついてしまいます。

特に中国人、日本人の人口の40%以上でアルコール代謝酵素が欠損していて、アルコール摂取による肝臓病などに注意が必要です。

中国人と日本人にはアルコール代謝酵素の1種類の働きが悪く、アルコールの分解が遅い人が多く存在します。

この人たちは分解が遅いので、アルコールを飲めてしまいます。

しかし、アルコールが分解されず、長時間体内に残り、アルコール依存症や発がんの原因になります。

アルコール摂取で顔が赤くなる人、二日酔いを起こしやすい人は注意が必要です。

抗酸化物質の代表的なもの、SOD、GPXは亜鉛、セレンの存在で初めて体内で作ることが出来る代謝酵素です。

我々はこれらの酵素を作り、免疫機構はこれらを利用して自己防衛しています。

アルコール性肝炎の方の身体のミネラル、特に亜鉛、セレンの状態をお示しします。

アルコール性肝炎の方は、健康な人と比べて亜鉛、セレンが極端に低くなっています。

MDA(炎症を起こす物質)は、アルコール性肝炎の方で健康な方と比べて有意に上昇しています。

MDA:マロンジアルデヒ

アルコールによって血液中の亜鉛、セレンが減って肝臓障害が増える事は、既に30年以上前から報告されています。

Ann Clin Res 1986 18 1:34-47

亜鉛、セレンを摂取することが肝臓の機能の回復に役立つなら、肝臓機能を守るためにも亜鉛とセレンを補充したほうが良さそうです。

SOD:スーパーオキシドディスムターゼ
GPX:グルタチオンペルオキシダーゼ
両方とも、活性酸素を除去する代謝酵素です。
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